テレビCMの効果測定方法とは?消費者行動に合わせたクロスチャネル分析も解説

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広告費をかけてテレビCMを制作・出稿するからには、しっかり効果を上げたいものです。しかし、テレビCMの効果はなかなか見えにくく、実際にどう測定するのが良いのでしょうか。そこで今回は、テレビCMの効果測定方法について、それぞれの手法と見方、さらにはデジタル広告とのクロスチャネル分析についてご紹介します。

テレビCMの効果を可視化するには

テレビCMの直接的な効果は測定方法が無く、可視化して効果分析するのが難しい傾向にあります。これには、以下のような理由が挙げられます。

そもそも、放送時間帯や番組別の視聴率=CM視聴率とは限りません。CM中にトイレなどで離席したり、スマホを見ていたり、CM中だけ別のチャンネルを見たりと、視聴者は「CMだから見ていなくてもいい」とさまざまな行動をしている可能性があるためです。つまり、実際にCMまで見ている人がどのくらいいるかは、視聴率だけではわかりにくいのです。

加えて、テレビCMは出稿する番組や時間帯によってターゲット層をある程度は絞り込めるものの、確実にターゲット層に届いているかどうか、すなわちターゲットが実際にテレビCMを見たのかどうかまではわかりません。

この点は、デジタル広告(Web広告)の方がターゲットを絞り込んで広告配信が可能なため、テレビCMよりも確実に広告を見てもらえる可能性が高いと言えるでしょう。

テレビCMの効果を測定する方法

では、テレビCMの効果を測定するにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、一般的によく使われている「GRP」に加え、新たな手法として注目される「GAP」やその他の手法についてご紹介します。

GRP(グロス・レーティング・ポイント)

最もよく使われる手法で、延べ視聴率とも呼ばれています。テレビCMが放映された期間中、放送された時間帯(番組)ごとの世帯視聴率を計測し、合計して算出するものです。

GRPの例を挙げると、以下のような計算式で算出できます。

例)
平均視聴率が8%のテレビ番組に1本、5%の時間帯に1本、10%の番組に2本、テレビCMを流したときのGRP

8% × 1本 + 5% × 1本 + 10% × 2本 = 33(GRP)

GRPの数値が高いほど、よりたくさんの人が見ていると考えられます。そのため、テレビCMのもたらす効果も高いとされてきました。ですが、この方法では前述のようにCM中だけ離席したり、スマホを見たりしているケースがあってもわからないため、確実とは言えないという指摘が出てきました。その弱点を補うために、顔認識技術でテレビCMがどのくらい観られているか(注視しているか)を計測できる「GAP(グロス・アテンション・ポイント)」という新しい手法が、2015年より実証実験されています。

問い合わせや売上数との比較

実際の売上や契約・販売数、コールセンターなどへの入電数などのデータを比較して、テレビCMの効果を測定する方法もあります。テレビCMの放送前後でこれらのデータを比較し、放送したエリア・時間・GRPとの相関を調べるのも一つの手法です。

実際に商品やサービスの売上や契約を伸ばすことが目的のテレビCMなら、この手法が効果的です。

マーケティングリサーチ

ブランドイメージや認知度、商品・サービスの理解などは、問い合わせや売上数ではわかりません。そこで、消費者に対するアンケート調査で測る「マーケティングリサーチ」という方法が使われます。昔は郵送によるアンケート調査が主流でしたが、今はインターネットで調査することがほとんどです。

ブランドイメージアップ、認知度アップや商品・サービスの理解度アップが目的のテレビCMなら、この手法を使うと良いでしょう。

デジタル広告×テレビCMのクロスチャネル分析

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近年、消費者行動は複雑化してきており、「テレビを見てインターネットで検索する」など複数メディアを横断して利用するようになってきています。これにより、デジタルマーケティングとテレビCMは、決して分断的なものではなくなってきています。

そのため、カスタマージャーニー(※1)分析など、クロスチャネルを意識した消費者行動への動線設計が必要です。消費者行動の中にどうテレビCMが組み込まれているか、テレビCMはターゲットにとってどのような位置づけなのかを知ることが重要です。

※1:カスタマージャーニー
直訳すると「顧客の旅」の意。消費者(顧客)が商品やサービスを知り、実際に商品を購入したりサービスを利用したりする、あるいは最終的に廃棄・解約するまでの道のりのことを指します。例えば、「テレビCMで商品を知り、比較サイトや評価レビューを見て他社製品と検討し、実際にWebサイトから購入し、日常生活の中で利用する」といったカスタマージャーニーが考えられます。

Webサイトへの流入数を測定する

テレビCMの放映前後でWebサイトの訪問数(セッション数)を測定するのも、クロスチャネル分析の一つです。前述のように、カスタマージャーニーに基づいたマーケティング施策を行うためには、「続きはWebで」というように、テレビCMを「認知」、Web広告を「比較・検討」「購入」に位置づける、といったクロスチャネルの活用が重要です。

Web広告でABテストを行う

テレビCMを出稿する前に、まずWeb広告としてバージョン違いで公開し、効果が高かった方を実際に出稿したり、その広告の要素を活かして新たな広告を制作する「ABテスト」を行うのも一つの手法です。Webサイトはコンバージョン率・クリック率など効果が見えやすいことを逆手にとり、Webで得られたデータをテレビCMに反映し、効率的に認知を図ることが出来ます。

これにより、よりターゲット層に訴えかけやすいテレビCMを出稿できます。

Web広告はアプリへ?

近年、Webサービスの多くがアプリに移行され、Webサイトを開くよりアプリを開く人が増えてきました。そのため、アプリによるデジタルマーケティング効果を知るのも、アプリ展開を考慮するなら重要です。これも、クロスチャネル分析の一つと言えます。

まとめ

テレビCMの効果測定方法として、これまでよく使われていたのが「GRP(延べ視聴率)」という手法です。しかしこの方法では実際にターゲットに届いたかどうかわかりにくいため、顔認証技術を使ったGAPという手法が開発され始めています。

また、近年では消費者行動に合わせ、Webとテレビを横断するクロスチャネル分析が必要不可欠です。ウルテレなら、オンラインメディアと連動した広告施策によって費用対効果の最大化・最適化を目指すことが出来ます。テレビCMの導入を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。