テレビCMの制作費とは?料金相場やコストを抑える方法、費用計上の項目を解説

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テレビCMを放映するためには、大きく分けて制作費と放映費の2つの費用がかかります。今回は、そのうち「制作費」について見ていきましょう。制作費の内訳や料金相場のほか、コストを抑えてテレビCMを作る方法、テレビCMの制作費は税法上どの区分に分類されるのかを解説します。テレビCMの制作を考えている方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

テレビCMには「制作費」と「放映費」が必要

テレビCMを放映するためには、大まかに「制作費」「放映費」の2つがかかります。

○制作費
 テレビCMとして放送するための映像を作成する「動画制作費用」

○放映費
 制作したCMをテレビで放送するため、テレビ局にCM枠を提供してもらう「広告料金」

今回は、テレビCMで実際に放映する映像素材、動画素材を作るための「制作費」について解説します。

テレビCMの「制作費」とは

では、テレビCMの制作費の内訳、それぞれの具体的な内容について詳しく見ていきましょう。

制作費の内訳

まず、テレビCMとして流すための映像を作らなくてはなりません。その内訳としては、以下のような費用がかかります。

  • 企画・プランニング費:自社で制作せず、映像制作会社に依頼する場合
  • 出演料:タレントなどを起用する場合
  • 撮影料:実写の映像を使う場合
  • 編集費:必ずかかる費用で、作った素材を1本の動画にまとめるために必要

それぞれの費用はテレビCMの制作方法によって異なりますが、だいたい以下の料金が相場です。

では、それぞれの費用にどんなコストが含まれるのか具体的に見ていきましょう。

企画・プランニング費とは?

CMを制作するにも、商品やサービスを制作するのと同様、詳細な計画が必要です。主に以下のことを決めていきます。

  • CMで伝えたいこと(商品、サービス、自社そのものなど)
  • CMを届けたいターゲット層(年齢、性別、属性など)
  • 競合他社との差別化
  • 予算の配分

これらを考慮しながらCM全体の構成を決め、絵コンテ・シナリオなどを作成します。この段階で、撮影スケジュール、出演者、使用する音源やスタジオなども決定していることが多いです。

企画から制作まで自社で行う場合は、これらのコストを抑えやすい反面、人的リソースが必要となります。一方、映像制作会社に依頼する場合は入念な話し合いが必要ですが、その分社内リソースを割かずにクオリティの高い映像を作れるというメリットがあります。

出演料・撮影料とは?

出演料とは、CMに人が出演する場合、出演者に支払う費用のことを指します。社員が出演する場合はコストを抑えやすいのですが、タレントなどを起用する場合は高額になることもあり、例えば、多少知名度のあるタレントでは、年間数百万〜数千万程度が一般的です。出演料は期間契約であり、基本は1クール(3ヶ月)ごとに契約してCMに出演する(映像を放映する)ことになります。

撮影料とは、CMの素材となる映像を撮影するための費用のことを指します。スタジオを借りる場合、ロケーション撮影をする場合、ロケセットを借りる場合などによって様々です。これにはスタッフの人件費のほか、使用する機材の費用もかかります。例えば、スペックの高いビデオカメラや撮影用クレーン、ドローンなどを使うと高額になりやすいです。

アニメーションやイラスト、CGでCMを制作する場合は出演料や撮影料はかかりません。代わりに、それぞれの素材の制作に費用がかかります。

編集費とは?

編集費とは、撮影した映像をつないだり、カットの順番を入れ替えたり、ナレーションやテロップ、音響効果などをつけたりするための費用のことです。音をつけることは「MA(Multi Audio)」と呼ばれることもあり、編集済みの映像にセリフ・ナレーション、BGMや効果音をつけ、音質やバランスを調整して音の最終仕上げを行うことを指します。

自社に編集用のパソコンやソフトがあればそれを使えるのですが、なければ編集スタジオを借りて行うため、レンタル費用がかかります。また、JASRAC(日本音楽著作権協会)が管理する楽曲や、有料の音源、画像素材などを使う場合、その利用料もかかる点に注意が必要です。

テレビCMの制作費を抑えるには?

では、テレビCMの制作費を抑えるにはどうすれば良いのでしょうか。上記の内訳を踏まえ、制作費を抑えるポイントを3つ確認しましょう。

天候に左右されない撮影を行う

天候に左右されない撮影形態にすれば、予想外のトラブルなどで撮影費用がかさみません。屋外撮影の場合、雨や風などの天候で撮影が延びると、タレントの出演料やロケ地の費用がかさむこともありますし、街などの場所によっては、撮影許可を取るのにも手間がかかるうえ、許可が下りないことも考えられます。

しかし、スタジオ撮影にしたり、屋外でも天候に関わらず撮影できる内容にしたりすれば、予備日をおさえる必要がありません。出演料やロケ地の費用などを抑えやすいでしょう。

出演者の契約期間を絞る

タレントの出演料は1クール(3ヶ月)ごとの契約が一般的です。期間契約なので、契約期間が長ければ長いほど費用がかかります。この契約期間を短くするためには、最も効果を引き出せる時期でのCM放送を見据えた契約にすることが有効です。

静止画を組み合わせたアニメーションCMにする

商品画像や図表などを組み合わせたアニメーションCMを制作するなら、出演料や撮影料をカットできます。天候や出演者、ロケの場所などに左右されないため、制作期間がズレにくく、制作に要する時間が短く済みやすいのもコストを抑えやすいポイントです。

そもそもアニメーションCMは出演料がかからないため、タレントが出演するCMと比べると比較的安く制作できます。さらに、動画でなく静止画ならより費用を抑えやすいでしょう。

テレビCMの制作費は固定資産にならない?

テレビCMの制作費は、税務上どのような取り扱いになるのでしょうか。最後に、税務上の処理も確認しておきましょう。

テレビCMの制作費は、基本的に「広告宣伝費」に計上されます。しかし一方で、固定資産として計上し、均等償却するかどうかの見解が分かれることもあるため、基本的には以下のように考えられるようです。

・無形固定資産
ソフトウェアとして計上するかどうかがポイント。テレビCMではプログラミングなどが施されない以上、ソフトウェアに該当しない

・有形固定資産
映画のフィルムや磁気テープ、レコードなどは有形固定資産に該当する。しかし、動画そのものは有形ではなく、器具備品にも該当しない

以上のことから、動画の制作費用は広告宣伝費として一括計上し、損金または必要経費として扱うのが一般的です。ただし、動画を複数年にわたって使う場合など、費用対効果の及ぶ期間が明確かつ年度をまたぐ場合については、効果の及ぶ期間に応じて配分処理することが妥当と考えられるでしょう。

まとめ

テレビCMの制作費とは、企画費用・出演料・撮影料・編集費の4つを合計したものです。このうち、企画費用や編集費はどうしてもかかってしまう費用なので、コストを抑えるなら出演料や撮影料を工夫すると良いでしょう。

また、テレビCMの制作費は固定資産ではなく広告宣伝費として計上されるのが一般的です。限られた予算内で最大限に効果を引き出すなら、ぜひ一度ウルテレにご相談ください。