テレビCMでよく使われるGRPとは?活用方法や新しい手法もご紹介

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テレビCMの効果は測りにくい、と聞いたことはありませんか。テレビCMはデジタル広告と比べ、どれだけの成果につながったのかを計測することが難しい傾向にあります。そこで、テレビCMの効果を数値化しする一つの指標として使われるのが「GRP」です。今回は、GRPとは何か、その計算方法や活用方法についても見ていきましょう。

GRP(グロス・レーティング・ポイント)とは

まずは、テレビCMの効果を測る指標として最もよく使われる「GRP」について確認しましょう。

GRPの定義

GRPとは「Gross Rating Point(グロス・レーティング・ポイント)」の略で、「延べ視聴率」のことを指します。ある一定の期間中に放送されたテレビCMの「世帯視聴率」の合計で、そのテレビCMがどれだけ露出できるのかを表す指標として用いられます。

主に、時間帯を決めて放映する「スポットCM」で使われる手法で、放映したCMの結果分析や、次回の放映をどのくらい行うかの設定に使われます。

例)前回の新商品キャンペーンでは800GRPを投下したが、まだリーチ(世帯がCMを見た割合)が取れると考えられるので、今回は1,600GRPを投下したい。

スポットCMとタイムCM

テレビCMは、大きく分けてタイムCMとスポットCMの2種類に分けられます。

〇タイムCM
 ある番組のスポンサーになり放映するCM。番組内のCM枠で放映される。

〇スポットCM
 番組に関係なく、指定の時間に放映するCM。番組内や番組と番組の間に放映される。

スポットCMはGRPを基にして料金が算出されるため、その効果測定にもGRPが使われることが多いのです。

個人視聴率と世帯視聴率

視聴率のうち、GRPで使われるのは「世帯視聴率」です。個人視聴率と世帯視聴率の違いは、以下のようになっています。

〇個人視聴率
 視聴率調査世帯の個人を性別、年齢層、職業などに分類して算出

〇世帯視聴率
 視聴率調査世帯全体のうち、何世帯がテレビを見ていたか計測

一般的に「視聴率」と言う場合は、この「世帯視聴率」を指します。もっと正確に言えば、視聴していたかどうか、というよりも「テレビがついていたかどうか」を計測するものです。そのため、テレビをつけたまま他のことをしていて、画面を見ていない時間もあることが指摘されています。

視聴率の測定方法

視聴率の測定には、「ピープルメータ(PM)システム」「オンラインメータシステム」「日記式アンケート」の3つがあります。

  • ピープルメータ(PM)システム:世帯視聴率と個人視聴率の両方を測定可能
  • オンラインメータシステム:世帯視聴率を測定する
  • 日記式アンケート:個人視聴率を測定する

「ピープルメータ(PM)システム」では、調査世帯のテレビに設置された「ピープルメータ(PM)」という機器が「テレビが表示しているチャンネル」と「テレビを見ている人」の2つを調査します。テレビを見ている人については、実際に調査世帯の個人がリモコンで「自分が見ています」というボタンを押すことで計測できます。

「オンラインメータシステム」では、調査世帯のテレビに設置された「チャンネルセンサー」という機器が「テレビが表示しているチャンネル」を測定します。調査世帯の各テレビがそれぞれどのチャンネルを映していたかを測定することで、世帯視聴率を算出するシステムです。

「日記式アンケート」では、調査員が直接調査世帯に訪問し、調査票を配布して実施します。このアンケートは1週間ごとの毎日のテレビの視聴状況を調査し、5分刻みで個人視聴率を把握するものです。

GRPの計算方法

GRPは、以下のように計算されます。

例)
月曜日から金曜日まで1日2回ずつCMを放映。それぞれの世帯視聴率は6%、5%、8%、8%、10%だった

 6% × 2回 + 5% × 2回 + 8% × 2回 + 8% × 2回 + 10% × 2回 = 74GRP

この場合、74GRPと算出できます。

GRPを算出することで、1GRP当たりの相場をもとにそのエリアでテレビCM投下を行う際に必要な予算を策定することができます。

テレビCMでGRPを活用するには?

上記のようなGRPの定義をふまえ、テレビCMの効果測定としてGRPを活用する方法としては、以下の2通りが考えられます。

認知率アップのために利用する

テレビCMを純粋に商品やサービスの認知率アップのために使うなら、GRPはそれなりに信用できる値です。なぜなら、認知率アップには「とにかく見てもらう」「知ってもらう」ことが重要だからです。GRPでは、画面を見ているかどうかはともかく、テレビはついていることがわかるので、認知度アップには貢献できると考えられます。

Webサービスへの入り口として

自社のWebサイト、通販サイトなどWebサービスにつなげるための入り口としてテレビCMを利用する方法もあります。テレビCMだけで直接的に購買やサービス契約につなげるのではなく、テレビCMはあくまでも入り口とし、その中で興味を持ったターゲット層だけをより成果につなげやすいWebサービスに誘導する手法です。

このためには、前述の認知度アップの方法としてGRPを活用し、クロスチャネル※1やカスタマージャーニー※2などの考え方も取り入れる必要があります。

※1 クロスチャネル
インターネットなどデジタル、テレビ、雑誌、コールセンターなどマーケティングを行う経路(チャネル、顧客と販売側の接点)を複数、かつ横断しながら利用するもの

※2 カスタマージャーニー
顧客がどのようなフローを辿って商品やサービスに辿り着き、購買に至ったかの経緯

GRPはもう古い?

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テレビCMの効果は測定しにくいと言われるのは、最初にご紹介したように、GRPでは確実にCMを見たかどうかが把握できないためです。これを補う形で「GAP(グロス・アテンション・ポイント)」が提唱されました。

GAPとは、顔認識技術により「画面をどの程度注視したか」という「注目度=Attention」を測定する技術のことです。これにより、テレビCMの間、実際に画面を見ていたかどうかまで測定できるため、GRPよりもさらにターゲティングしやすいとして注目され初めています。しかし、GAPは実証実験でデータを計測中の段階。実用に至るまでにはまだまだ時間がかかるでしょう。

ウルテレでは、テレビCMの効果を可視化するために、デジタル施策と連動した効果検証を行っております。そのため、GRPだけでなく、様々な指標をもとにテレビCMを運用していくことが可能です。

まとめ

テレビCMにおけるGRPとは「グロス・レーティング・ポイント」、すなわち延べ視聴率を表します。GRPは現在、主にスポットCMの効果を測定するのに使われていますが、実際に画面を見ていたかどうかがわからないなどの点で効果が不確かだという指摘もあります。ウルテレではGRPだけではなく、より費用対効果を求めやすい独自の効果検証を行っています。興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。